2024年8月23日
名古屋大学で第14回「企業と博士人材の交流会」が開催され、私はまだM2なので、オブザーバー(見学者)として参加しました。
公式サイトはこちら:https://dec.nagoya-u.ac.jp/career/kouryukai/
午前中は博士によるポスターセッションで、博士課程学生~ポスドクの方々が自分の研究成果や自己紹介などを載せたポスターを企業の方向けに発表していました。とてつもなく熱気のある会場で、企業の方が熱心に研究内容に耳を傾け、博士学生と交流している姿があちこちで見受けられました。
この交流会の趣旨とはずれるかもしれませんが、自分の専門分野だけでなく、普段ほとんど触れないような幅広い分野の研究発表が見れて、そこも面白かったです。専門的なことについて議論するというより、なるべく間口を広くとって自分の専門分野外の方でも興味を持ってもらえるようなポスターのまとめ方を多くの方がされていて、とても参考になりました。
午後は企業によるショートプレゼンを聞きました。今回は59もの企業が集まり、すべての企業から2分間のプレゼンを聞くことができました。企業にとって求められている、多様な博士人材像を知ることができました。また、私はまだ就活に本腰を入れたことがないため、博士人材をもとめている企業そのものについて知ることができたのも大きかったです。ショートプレゼンの後は博士学生が各企業ブースに行って個別に相談できる時間が設けられていました。オブザーバーである私はそのブースには行けないことになっているので、そこで退場しました。
今回はまだ私が修士学生のため、オブザーバーとして博士と企業の交流している様子を見学することしかできませんでしたが、それだけでもたくさんの収穫を得ることができたな、と実感しています。
- 専門分野以外の人でも興味を惹きつけられるようなポスターデザイン
- 企業への自己アピールの仕方
- 博士学生と企業側が活発に交流している様子
- 企業が求める博士人材像とその能力
- 企業が博士人材を求める背景
- 企業が設ける博士人材の待遇措置
- 博士が企業で就ける職種
- 博士が企業で形成するキャリアコース
などなど…これらについてはぼんやりとしたイメージしか自分の中になかったのですが、実際に間近に見て、聞いて、各論として情報を得ることができたのが大きかったです。
来年度博士に進学するので、来年度からは博士人材側として、ぜひ参加したいと思いました。博士学生でなくてもオブザーバーとして参加できる機会を作ってくださった運営の方々にも感謝です。
アカデミアか、企業か?
この問いについては、ほぼ全ての博士が考えるのではないでしょうか。2024年3月、文部科学省から「博士人材活躍プラン」が発表され、これまで博士号取得後の進路としてはアカデミア就職が一般的とされてきましたが、企業にも就職しやすくなるような政策が今後推進されます。
博士人材活躍プラン~博士をとろう~」について
リンク:https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/1278386_00002.htm
私は今まで、博士取得後はアカデミアに進みたいと思ってきました。身近にいる大学の先生方に憧れを抱いてきましたし、ポストについた後のイメージも湧きやすいからです。しかし、今回の「博士と企業の交流会」に参加して企業就職の実態を垣間見て、「企業で働くのも全然アリじゃないの?!」という気持ちも湧いてきました。
アカデミアのポストは限られていますし、少子化で今後ますます減っていくでしょう。アカデミアの方が企業研究職より自分のやりたい研究ができる、というのは概ね合っているのだろうと思いますが、大学教員も事務的な雑用や大学運営の業務、やりたい研究をやるための申請書作成に追われたりして、素晴らしい職場環境かといわれるとそうではないような…
今回の交流会での企業プレゼンで、研究員に年200~1000万の自由に使える研究費を配当し、研究してもらいますと謳っている企業もありました。十名程度の分野が異なる博士号取得者が集まり、それぞれがやりたいプロジェクトの研究開発をするという企業もあり、アカデミアとも研究所とも違った研究体制で面白そうだなと思いました。
また、ライフプランも合わせて考慮すると、さらに悩む事項が増えます。私は今のパートナーと結婚を考えていて、子供を産むタイミングについて考えることもあります。
結局はアカデミアと企業どちらが良い悪いではなく、博士号を取得したタイミング時点での「自分が望んだ形で働けるか」という職場環境とのマッチングなのかなと思っています。
しかし、私は一生研究をしていたいですし、研究者として一人前になるために博士を目指しました。研究という営みを愛していますし、研究者として生きていきたいです。そこだけは、今後もブレないのかなと思います。
キャリアがどんな形であれ、私は研究をしていたい。結婚したいし子供も欲しい。アカデミアでも企業でもどっちでも良い、自分の研究人生を諦めずに、子供を育てる環境がなるべく整った道に進みたい。
M2時点での私の結論はこれです。
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